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事例でわかる 労働審判手続の流れ&対応のポイント

3.労働審判手続の仕組み


(1)対象となる事件
ア) 労働審判手続は「個別労働関係民事紛争」、すなわち「労働契約の存否その他の労働関係に関する事項について個々の労働者と事業主との間に生じた民事に関する紛争」を対象とすることになっています(労働審判法1条)。具体的には、解雇、雇止め、配転、出向、賃金・退職金請求権、懲戒処分、労働条件変更の拘束力などをめぐる、個々の労働者と事業主との間の権利紛争が対象となります。また、セクハラ・パワハラ等の損害賠償請求や退職強要に対する差し止め請求も対象となります。 イ) 残業代の請求は精査しなければならないので、労働審判手続にはなじまないといわれていましたが、例えば、タイムカードが一部存在すればそれに基づき推定するなどして調停・審判がなされています。
(2)申立て
労働審判は3回以内の期日で終了することになっていますが、3回以内の期日で審理を終結させるには、第1回期日を充実させる必要があります。そのために、申立書には、申立ての理由、争点、争点ごとの証拠、当事者間の交渉経緯(事案の実情の把握に必要)などを具体的に記載させるとともに、証拠書類の写しをも添付させることにしています。
(3)期日指定
第1回期日は、原則として申立がなされた日から40日以内の日が指定されます(労働審判規則13条)。申立書が送達されるまでに5日程度かかり、期日は40日より前の日が指定されます。期日の変更はほとんど認められません。また、答弁書の提出期限は、期日の7日から10日前と指定されることがほとんどです。そうなると、申立書が、事業主に送達されてから答弁書を出すまでの期間が、20日から25日程度になります。さらに、代理人(弁護士)を探すのに7日程度かかるとなると、代理人が受任してから答弁書提出まで2週間前後しかない場合も多いと思われます。2週間でゼロから証拠を集め反論するのはかなり至難の業となります。
(4)答弁書の重要性 労働審判の第1回期日で、申立書・答弁書の争点整理、書証の取調べ、関係者の審尋、心証形成後の調停まで行われることが多いと思われます。調停が不調となり審判が出ると、訴訟に移行後、その審判は重視されます。したがって、短期間で作る答弁書で事件の帰趨が決まる可能性があります。
(5)第1回期日までの準備
第1回期日にて、前記のように争点整理、証拠調べから調停まで行われることになりますので、第1回期日前に以下の準備が必要となります。
①関係人からの事情聴取、証拠の収集
②答弁書の作成、証拠の整理、証拠説明書の作成(主張、証拠を出し切ります)
③調停の話合い解決についての打ち合わせ(かなり大事です。労働審判委員会は事業主の実情がわからず的確な調停案を提示できない場合があります)
④審尋(証人尋問)のリハーサル
以上のような、通常訴訟では半年から1年かかることを、労働審判では2週間で行うことになります。
(6)第1回期日の一般的な進行スケジュール
第1回期日では以下のように進行します。
①争点整理(主張のポイントの整理、不十分な主張の補充)
②書証の取調べ
③審尋(関係人に対し、裁判官、場合によっては労働審判員から質問がなされます)
※場合により、代理人に質問の機会があります。
<審尋の注意点>
審判官に矢継ぎ早に質問されますので、早とちりで予想外の答えをしてしまうおそれもあります。メモは見ることができません。審尋の過程で、審判官の質問の内容や様子などから、その心証がそこはかとなく見えてくることがあります。
<調停の注意点>
審尋終了後に、当事者を退席させて労働審判委員会の評議が行われ、調停案等の準備がなされます。 調停は、申立人、相手方が別々に審判廷に呼ばれ、労働審判委員会が調整をするという形式が取られることが多くあります。審尋と調停の間や調停で労働側が呼ばれている間は時間があるので、審判官の心証を探りつつ調停の打ち合わせをすることになります。調停で審判官からいろいろな調停案を示されたら席を外して打ち合わせをしても可能です。調停案に双方が同意すれば、調停が成立し事件解決となります。 調停が成立しない場合は、2回目以降の期日指定と"宿題"が言い渡されます。"宿題"とは、出頭できなかった関係人の出頭確保、提出を求められた証拠や補充書面の提出、調停案の検討などです。所要時間は2時間程度となります。
(7)第2回期日以降(約2~3週間後)
第2回期日は、第1回期日から約2~3週間後となります。第2回期日以降は、新たな主張の追加は認められませんが、追加の審尋、調停作業の継続がされます。 調停がまとまらないと労働審判の言渡しとなります。審判の言渡しは実務上は口頭告知がかなり多数を占めています。審判の告知を受けた日から2週間以内に裁判所に異議申立てができます(労働審判法21条1項)。異議申立てがあると、労働審判手続きの継続していた裁判所に訴え提起があったとみなされます(同22条1項)

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