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事例でわかる 労働審判手続の流れ&対応のポイント

第一回打ち合わせのポイント


(5月24日 D弁護士事務所にて)

社長初めまして。よろしくお願いいたします。私は、A社の社長ですが、今回解雇した従業員が労働審判の申立をしてきました。びっくりしました。とにかく弁護士の先生を探さなければいけないと思っていましたが、知り合いの弁護士もおりませんで、また、知人に紹介してもらった弁護士が労働問題に詳しくないということで、先生にたどり着くまで1週間ほど経ってしまいました。

弁護士それは大変でしたね。まず、裁判所から送られてきた書類を見せてください。

社長裁判所からは、「期日呼出状及び答弁書催告状」がきています(PDF別紙)。

弁護士裁判所に出頭する期日は、6月18日で、答弁書の提出期限は、6月9日までとなっていますね。答弁書を出すまでに、2週間程度しかありません。これはかなりハードスケジュールです。

社長労働審判の期日や答弁書の提出期限は一体どのように決まるのですか。先生もお忙しいでしょうから、裁判所に頼んで変更してもらうことはできないのですか。

弁護士第1回期日は、原則として申立てがなされた日から40日以内の日が指定されます。しかし、申立てがなされてから相手方に申立書が送達されるまでに5日程度かりますし、期日は、審判官と労働審判員との日程調整が入るため、40日より前の日が指定されます。また、答弁書の提出期限は、第1回期日の7日前から10日前と指定されることが多いです。ですから、申立書が届いてから答弁書提出までは、25日前後しかありません。弁護士探しに1週間程度かかってしまうと、弁護士に依頼してから答弁書を提出するまで2週間程度しかないという状態になります。しかも、第1回期日の変更はほとんど認められません。

社長それなら第1回期日に答弁書を出す期日の変更はできますか。

弁護士答弁書の提出期限については、若干融通が利くようです。しかし、第1回期日の数日前には出しておかないと、審判官や審判員が当方の主張を読むことができないことになるので注意が必要です。しかも、答弁書は、労働審判においては重要な位置を占めるので全力投球で作成しなければなりません。

社長重要な位置を占めるとはどういうことですか。

弁護士第1回期日で、申立書と答弁書の争点整理、書証の調べ、関係者の審尋いわゆる証人調べを経て労働委員会の心証が形成され、調停が行われます。その後、反論は期日に口頭で行うのが原則となるので、補充書面は出すとしても簡潔なものとなります。しかも調停が不調となり審判が出ると、それは訴訟へ移行した場合に重視されます。したがって、短期間で作る答弁書で事件の帰趨が決まります。

ポイント1

社長そんなに重要なことが2週間あまりで作る答弁書によって決まるなんて・・・。答弁書以外に準備することはあるのでしょうか。

弁護士第1回期日までに提出する書面としては、答弁書、書証、証拠説明書があります。答弁書とは、申立書に対する反論と当方の主張を具体的に記載した書面です。そして答弁書の反論主張を裏付けるものとして書証を提出する必要があります。さらに、書証が、何を立証しようとしているのかを明らかにする書面として証拠説明書というものを出す必要があります。

社長反論だけ出せばいいと思っていました。

弁護士審判は、申立人と相手の主張を証拠に照らして判断していきます。また、証拠はそれ自体ではなにを立証するものかわからないので、証拠説明書も必要となります。

社長わかりました。反論のための資料とそれに関係する書類は準備します。これさえ準備すればいいのですね。

弁護士いいえ。第1回期日では、審尋といういわゆる証人調べがあります。ですから、第1回期日に審尋の対象となる関係者を選定し、できれば尋問の準備、リハーサルもしたいと思います。さらに、第1回期日では、調停つまり話し合いも行われるので、その打合せもしなければなりません。

社長頭が痛くなってきました。2~3週間でそこまでしなければならないのですか・・・

ポイント2

弁護士まず、今日は、社長から事情をお聞きし、次回の打ち合わせでお持ちいただく証拠も確認しましょう。

社長―というわけで、景気の低迷もあり、やむなく、平成21年10月には、従業員の賃金を10%カットしました。また、その後も景気が低迷し、やむなく今年(平成22年)3月末をもって、Cを解雇しました。

弁護士申立書では、社長が同意を得ずに賃金カットをしたとなっていますが、賃金カットについては、従業員の同意は得ましたか。

社長朝礼で話をしたところ、特に異論は出なかったので・・・

弁護士労働条件を変更するには、労働者の同意を得るのが原則です。しかも後日同意の有無の争いを防ぐために、書面で同意を得ておくべきです。

社長賃金カットの同意の有無について争いとなり、同意書のようなものがない場合は、労働審判ではどうなりますか。

弁護士一概には言えませんが、賃金カットという労働者に対する重大な不利益行為については、労働者が簡単には納得しないであろうと推測されるので、書面で同意を取る程度にしておかないと労働者の同意はなかったと推認される可能性が高いと思います。

社長何か手だてはありませんか。

弁護士社内メール等で賃金カットについて告知し同意を得たりしてはいませんか。

社長調べてみます。

弁護士賃金カットに併せて賃金規定の変更等はしていませんか。

社長していません。

弁護士社長のお話ですと、会社の経営の必要上Cを解雇したことになるので、本件は整理解雇に当たります。整理解雇については、4つの要素からその有効性が判断されます。それは、①人員削減の必要性②整理解雇選択の必要性③被解雇者選択の妥当性④手続きの妥当性の4つです。

社長整理解雇が有効となるには、4つの要素の検討が必要ということは知りませんでした。大丈夫かな・・・。不安になってきました。

弁護士具体的にお聞きしていきます。4つの要素がうまくそろっている場合もありますから・・。 人員削減の必要性つまり、経営不振などによる人員削減の企業経営上の必要性の検討をしましょう。御社は経営不振は、決算書上裏付けられていますか。

社長平成20年のリーマンショック以降急速に売上が落ち込みました。今年になってからも売上の落ち込みは継続しています。

弁護士御社の決算期はいつですか。

社長9月末です。

弁護士では、次回、平成19年、20年、21年の決算書をお持ちください。また、平成21年10月以降の試算表もお持ち下さい。試算表が必要となるのは、平成21年10月に基本給のカット、その後22年3月に整理解雇をしているので、21年10月以降の売上の推移なども証拠として必要になるからです。

社長わかりました。

弁護士次に整理解雇の必要性、つまり整理解雇を回避する努力をしたのか否かについてお聞きします。御社は、整理解雇の前に、配置転換や希望退職の募集等はしていますか。

社長うちのような零細企業は、配置転換などすることができません。希望退職の募集などすると、従業員に大きな動揺を与え、むしろ有能なデザイナーが辞めてしまうおそれがあり、やっていけなくなります。ですから、営業成績の悪いCに自発的な退職を求めたのです。しかし、Cがそれを拒否したのでやむなく解雇したのです。

弁護士アルバイトを解雇したり、新規採用をやめたりしていますか。

社長アルバイトは4名いましたが、昨年末に全員辞めてもらいました。新規採用もしておりません。ただ、4月以降に、アルバイト1名を雇いました。それは、アルバイトのしていた商品の発送を正社員に兼務してもらっていたのですが、どうしても商品発送の人手が足りなくなったからです。

弁護士では、被解雇者選択の妥当性つまり被解雇者の選択について合理的な基準が設定されてそれを公正に適用したのかどうかについてお聞きします。Cは営業成績が悪かったということでしたが、それが客観的にわかる資料はあるのですか。

社長当社の営業は7名おります。7名については、毎月各人の売上が出るようになっており、それが賞与の基準にもなっています。それを見れば、Cの成績が一番悪いことははっきりします。

弁護士では、次回その資料をお持ち下さい。Cの勤務態度はどうですか。欠勤が多いとか遅刻が多いとか・・・。

社長遅刻や欠勤が特に多いということはありません。

弁護士最後に、手続きの妥当性ですが、整理解雇の必要性について従業員に説明していましたか、していたとしてどのような説明をしていましたか。

社長当社は、毎週月曜に当社は全体朝礼を行います。その中で当社の売上が落ちてきていることは話をしています。

弁護士Cに対してはどうですか。

社長Cには、解雇の際に、個別に、当社の売上が落ち込んでいること、Cの成績が営業マンの中で一番悪いことは説明しました。

弁護士Cはなんと言っていましたか。

社長平成20年までは、Cは営業マンの中で売上上位の社員でした。本人は、たまたま自分の担当の取引先の取引量が減ってきただけで自分のせいではないと言っていました。自分は、家族もいるし、50歳なので他に再就職もできない。ひどすぎると言っていました。

弁護士社長はどのように返答なさったのですか。

社長他の社員も既存の取引先の取引量が減ってきたので、新たな取引先を見つけてくるなど努力をしているが、Cはそのような努力をしていない。退職金も通常の退職金に5割上乗せすると話をしました。

弁護士大筋はわかりました。それでは、申立書に沿ってさらに細かくお聞きしていきます。今後の流れとしては、6月2日に再度ご来所いただき、答弁書についての打ち合わせを行います。答弁書を提出後の6月14日に、審尋や調停つまり話し合いの対策を社長と行いたいと思います。

社長わかりました。

ポイント3

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